他力

おめでとうございます。

お正月に呼んだ本の紹介をさせていただきます。

「他力」 五木寛之作

他力といえば、「他力本願」という言葉が浮かびます。

一般に他力本願といえば「あなたまかせ」「他人まかせ」の意味で用いられていることが多い。

「自助努力」の反対の表現されています。最近の「自己責任」を強調する際も、他力本願ではいけないと言われたりします。

「他力」の本当の意味は、「あなたまかせ」「無責任」ではありません。

それは、強い世界観に基づく、大きな思想であり、危機に直面した人間にとってのもっとも頼もしい力。

神や仏の存在を信じる者も、信じない者も、目に見えない世界を認める者も、認めない者も、世界中の民族や

国籍を超えて<非常時>に生きる私たちを、強く揺さぶるエネルギーがそこにはある。

そして、この他力の世界こそ、いま私たちが無意識にもとめている「何か」ではないか。

ということを、作者の今までの人生の生活の中に表現されている。

今、この不安定な社会・政治・経済の中で、信じうるものはあるのか。次から次へと限りなく襲ってくる日常のトラブル、

身体の不調・自己嫌悪・諦め・・・。それでも私たちは、生きている。生かされている。

それをどのように感じていくかを考えさせられた1冊でした。

                                                           谷林 三津子

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