小鳥の恩返し
玄関先の樹木の剪定をしていたところ、木々の中に鳥の巣を発見。 気がつけば、私を威嚇するかの様に、親鳥が飛び回っています。
きっと卵があるのでしょう、それなら、剪定は小鳥たちが巣立ってからにするとして、その日から、小鳥一家を見守ることにしました。
やがて、卵がかえったか、親鳥が、一生懸命、ご飯を運ぶ姿を見るようになりました。それは、それは、かいがいしく、行ったり来たり、必死に、子育てをしている姿に胸が熱くなり、ご近所さんも一緒になって、応援していました。 そして、親鳥のお留守をねらって、そっと、雛の様子をみては、なんだか、子や孫を見まもるような気持ちで、楽しんでいました。
そして、巣立ちの日。
一羽ずつ、少し離れた親鳥の元に、勢いよく飛びたちます。
一羽、そして一羽。
ところが、必ずいるんですね、どんくさい子が。
飛び出しはしたものの、親鳥のところに、なかなか行けません。バタバタと焦っている様子のわが子に、「頑張って。こっちへおいで。」と言っているかのように、親鳥は、その子の近くを飛び回ります。
頑張れ。それ、それ、そう少し。こっちも手に力が入ります。
そして、最後のその子も無事、飛びたっていきました。
旅立ちに、ホットしましたが、ちょっぴり、さみしくもありました。
物語は、まだ、続きます。
2.3日して、2階のベランダで、お布団を干していると、なんと、お隣の屋根に あの小鳥一家が、こちらを向いて並んでいるではありませんか。
お子達は、何やら楽しそうに、ぱたぱたしながら、遊んでいます。 「お世話になりました。元気にやっています。」と、親鳥が言っているようでした。
想いが通じていたんですね。すごく、すごくうれしかったです。
ひとしきり、姿を見せてくれたあと、一家は、また、旅立っていきました。
訪問先で聞いた、素敵なお話です。私も幸せな気分になれました。
山外 桂子